能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!

樹氷



店の裏には、雪原の中に、ところ狭しとキラキラと日の光に輝く樹氷が立ち並んでいた。

マリーは、

「こんなところにこんなにたくさん樹氷があるなんて、珍しいですね。」

と言うと、店主の顔には先ほどまでの和やかな表情は消えていた。

店主は黙ったままおもむろに一本の樹氷に近づいた。

そして、樹氷の上部を覆っている雪を、手で丁寧に払った。

「え??」

マリーは驚きのあまり声が出た。

雪の下から現れたのは、氷で覆われた人の顔だった。

樹氷だと思っていたのは、凍りついた人だったのだ。

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