能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!
昼過ぎに、勇者ミハエルが青白い顔で、頭を押さえながら食堂に降りて来た。

昨晩の宴会で、食堂は二日酔いの男達であふれていた。

みな口々に、

「昨日は飲み過ぎたよ。」

「楽しすぎて飲み過ぎた。」

「いい酒だった。」

などと話しながら、ブランチをとっていた。

勇者ミハエルはキョロキョロと食堂を見渡すが、マリーの姿が見えない。

勇者ミハエルが空いている席に座りながら、先に食事をしている男に、

「で、昨日の主役たちはどうしたんだい?」

と聞くと、その男はむしゃむしゃと食べながら、

「とっくに氷山に出発したらしいぞ。」

と言った。

「氷山??アイスドラゴンの鱗でも拾いに行ったのかい?」

と、言った。アイスドラゴンの鱗は高く売れるので、鱗狙いの冒険者も多い。

「違う違う、氷竜花を取りにアイスドラゴンのいる洞窟まで向かうらしい。

まあ、かわいそうだが、二度と戻ってこれないかもな。運が良ければ、氷になって帰ってくるさ。」

と言った。

勇者ミハエルは黙ったまま、握りこぶしにギュッと力を込めた。

くそっ!逃げられた!マリーめっ!絶対に許さないっ!!

勇者ミハエルの瞳は怒りで燃えていた。


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