能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!

山小屋

山小屋

山小屋の中は管理が行き届いており、意外とキレイな状態だった。

暖炉もあり、薪も十分なほどを置いてある。

レオナルドは荷物を降ろすと、暖炉の中に頭を入れ、雪で煙の出口が塞がれていないか確認した。

「大丈夫そうだ。」

そう言うと、薪をくべ始めた。

マリーが慌てて、

「ぼ、僕がやります!」

と言って、代わろうとしたが、レオナルドは、

「疲れているだろう。俺がやるから。」

と言って、代わろうとはしなかった。

最近、やたらとレオが私の世話を焼くようになっている気がする・・・。

マリーはそう思った。マリーは交代することをあきらめて、部屋の隅に荷物を置くと、

山小屋の設備を確認し始めた。

壁の一面には、たくさんの斧やロープが掛けられていた。

そして、十分すぎるほどの薪、たくさんの布団。大人数のパーティーでも暖を取れる場所のようだ。

大きな木箱がいくつも積み上げられており、箱の中には、傷薬や包帯など、何かあった時にここで救護出来るようになっていた。

マリーは山小屋の設備を見て回ったことで、逆に、今からとても危険なところに行くのだと改めて実感させられた。

マリーが設備を見ている間、カチッカチっという音が山小屋に響きわたっていた。

マリーは一通り設備を確認した後で、音のする方を見てみると、レオナルドが薪に火をつけるの
に手間取っていた。

マリーは思わずクスっとなった。

大きな体で何でも出来そうなレオが、懸命に火を起こそうとしている姿が、どうしようもないくらい

マリーにはかわいく映った。

マリーは積んであった藁を少し手に取ると、レオナルドに歩み寄り、

「レオ、代わってください。少しコツがいるんです。」

と言った。

レオナルドは今度は素直にマリーと交代した。

レオナルドから火打石を受け取ると、慣れた手つきで、カチカチっと火打石をぶつけると、一瞬で藁に火をつけ、ふーふーと

息を吹きかけ、藁の火が大きくなったところで、薪の下に入れた。

薪がぱちぱちと音を立て、少しずつ燃え始めた。

「さすがだな。」

とレオナルドが言った。

「仕事ですから。」

とマリーは謙遜して答えた。



二人は明日の出発に備え、早めに夕食を済ませた。

レオナルドは、

「よし、俺が火の番をするからマリウスは先に休め。」

と言った。

また私を休ませようとする・・・。

と、マリーは思った。

「あの、読みたい本があるので、僕が火の番をします。」

っと、マリーが言った。レオナルドは、

「昨日店主からもらった本か。」

と言った。マリーは、

「はい!氷山のことも詳しく書いてあるようなので、出発までに読んでおきたいんです。」

と言った。

レオナルドは、

「わかった。」

と言うと、布団を手に取り、暖炉の近くの壁の方に向かった。

座って壁にもたれると布団をかけ、すやすやと眠り始めた。

マリーはその様子を一部始終見てから、本を取り出し、熱心に読み始めた。

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