能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!
ドン!
マリーの身体に衝撃が走った。
マリーが恐る恐る眼を開けると、マリーの身体は壁にぶつかっていた。
凍っていない??
ふと見ると、マリーの傍で身体が半分凍った状態のレオナルドが横たわっていた。
レオナルドの身体は左肩から右足にかけてカチカチに凍っていた。
レオナルドは、マリーをかばって氷炎を受けたのだ。
「マリウス・・・大・・丈・・夫・・か?」
レオナルドが唯一動く右腕をマリーにゆっくりと伸ばしながら、途切れ途切れに言葉を発した。
「なんで???なんでこんなことに!!」
マリーの目から涙が溢れ出した。
マリーはアイスドラゴンの方を見た。
マリーの魔法は成功したようで、アイスドラゴンは座ったまま眠っていた。
「絶対に助けるから!」
マリーはレオナルドにそう言うと、腕でぐいっと涙を拭い、氷竜花に向かって走り出した。
マリーは二本、氷竜花を摘み取ると、レオナルドの元に戻り、レオナルドの服の中に
氷竜花を押し込んだ。
ちょうどその時、アイスドラゴンが眠りから目を覚まし、キイーッと大きな雄たけびを上げた。
マリーの魔力は弱く、眠りの魔法は5分も持たなかったのだ。
しまった!
マリーはレオナルドを運び出そうとしたが、ただでさえ身体が大きい上に、
凍っていて重みが倍増している。マリーは必死にレオナルドを動かそうとするがびくともしない。
どうしよう・・・
アイスドラゴンは、再びマリーめがけて氷炎を放った。
移動魔法を使うしかない!
今まで自分一人でしか使ったことはなかったが、そうもいってられない!
二人同時に移動できるか分からないがやるしかない!
マリーは咄嗟にレオナルド覆いかぶさり、指を上に向けくるくると回し無我夢中で、移動魔法を使った。
ボン!
アイスドラゴンが氷炎を放ったところには何もなかった。
そこにあったはずのマリーとレオナルドの姿は、跡形もなく消えていた。