能ある魔女は目を隠す？！二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました！

冒険者協会


店主は、食堂にマリーを座らせると、店に入ってすぐの一番近い部屋にレオナルドを運ばせた。

店主は、レオナルドを寝かせてから、食堂に戻ってくると、マリーに温かいスープを差し出した。

マリーは差し出されたスープには目もくれず、カタカタと体を震わせながら、

「レオは、レオナルドは助かりますか？？」

と、店主に聞いた。

「半分凍るくらいなら、いっそのこと全身凍ってくれてた方が、助かる確率は上がるんだが・・・。」

店主が俯きながら、残念そうにマリーに言った。

「どういう意味ですか？魔法隊はいつ来るんですか？？」

「魔法隊はしばらく来ないよ。だいぶ呼吸が浅くなってる。このままだと、数日もつかどうか・・・。」

「そ、そんな。ひょ、氷竜花があれば助かりますよね？？」

マリーは必死に店主に聞く。

「氷竜花の抽出液は魔法隊じゃないと作れないんだよ。」

「そ、そんな・・・。」

マリーは肩を落とした。

「もう一度、魔法隊に連絡するから。とにかく、おまえさんも早く温まってゆっくり休め。」

と、言って、店主は席を立った。


マリーはそのままふらふらと、レオナルドが眠っている部屋へ行った。



店主が言った通り、レオナルドの呼吸は素人目にも分かるくらい浅くなっていた。

顔色も悪く、マリーの頭には最悪の事態が浮かんでいた。

「このままにしておけない。」

マリーは部屋を出ると、先程出されたスープを一気に飲み干した。

そして、店主を捕まえると、

「食事を！何でもいいので、元気が出る食事をください！」

と言った。店主は一瞬びっくりした表情を浮かべたが、

「待ってろ！とびきり元気が出る食事を持ってきてやる！」

と言って、厨房の方へ行った。

マリーは魔力を使い過ぎたことを自覚しており、とにかく魔力を取り戻そうと思った。

とにかく食べて寝て、もう一度飛ぶ！！

マリーは運ばれてきた料理をバクバクと口に放り込みながら思った。