能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!
マリーは店主に頼み込み、レオナルドと同じ部屋で眠った。
翌朝、まだ薄暗く、じんわりと空が白んできたころ、マリーは出発する準備を整えると、
部屋の内側からしっかりと鍵を掛けた。
そして、眠っているレオナルドに歩み寄り、ゆっくりと覆いかぶさると、指を上に向けくるくると2回まわした。
シュン!
二人の姿は一瞬で消えた。
そして、二人の姿が現われたのは、1つ前に立ち寄った冒険者協会の近くだった。
幸い、夜明け前なので、誰にも見られていない。
マリーは呼吸を整えた。こんなに連続で移動魔法を使ったことはない。
もし、失敗して離れ離れになってしまったら?
と、嫌な考えが頭をよぎった。マリーはそんなことは起こらない!と、自分に言い聞かせるように、
首をぶんぶんと横に振ると、再びレオナルドに覆いかぶさり、続けてくるくると指を回し、移動魔法を使った。
シュン!
再び二人の身体は跡形もなくその場から消え去った。
ドン!
と、大きな音が鳴った。
その大きな音にビビアンが目を覚まし、その音のした部屋へビビアンが飛んできた。
そう、二人が着いたところは、マリーが間借りをしていたビビアンのいる冒険者協会の部屋だった。
扉を開けたビビアンは、マリーの帰宅に驚くとともに、半分体の凍ったレオナルドにさらに驚いた。
ドンっという音は、床に、凍ったレオナルドの大きな体が落ちた音だった。
「マリーッ!!」
ビビアンが声をあげた。
マリーもぐったりしていた。連続で魔法を使ったからだ。
ビビアンは急いで父を起こすと、二人でレオナルドをベッドに寝かせ、マリーも別室で寝かせた。