能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!
ビビアンがマリーのおでこに置かれたタオルを取ると、冷たい水の入った桶に入れ、ぎゅっと絞り、

再びマリーのおでこにそっと置いた。

マリーはおでこに冷たさを感じ、目を覚ました。

マリーが目を覚ましたことに気づき、ビビアンが、ほっとした様子で、

「マリー、よかった!気が付いたのね!」

と言った。

マリーは、

「レオは?レオはどこ?」

と言いながら、身体を起こした。

「まだ寝てなきゃだめよ!」

と言って、ビビアンがマリーの上半身を支えた。

マリーはビビアンの言葉は聞かず、

「レオは?」

と、聞き続ける。

ビビアンは、ふうっとため息をつくと、滑り落ちたタオルを拾いながら、

「レオナルドさんは隣の部屋で寝かせてる。今、父さんが、氷を解かしてくれるよう、

お城の魔法隊に直接頼みに行ってるわ。」

それを聞いたマリーは、涙を浮かべながら、

「ありがとう・・・。ビビアン。」

と言った。しかし、ビビアンは、

「でも、あまり期待は出来ないかも・・・。最近、王様の重病説が流れてて・・・。

本当かどうかは分からないけど、魔法隊がそっちに力を注いでて、国民に力を貸してくれなくなってる

らしいの。」

「そうなんだ・・・。」

そういわれてみれば、確かに、氷山の麓の冒険者協会の裏にも、大量の人の樹氷がそのままになっていた。

マリーはギュッとふとんを握りしめた。その時、

トントン

と扉がノックされ、ビビアンの父が入ってきた。

「おかえり、父さん、どうだった?」

と、ビビアンが聞くと、ビビアンの父は残念そうに、首を横に振り、

「だめだった。門前払いだったよ。他の人たちもみんな追い返されていた。」

と言った。そして、

「とりあえず、嘆願書は渡して来たから、待ってみるしかない。」

と言った。

マリーは、

「ありがとうございます。」

と、力のない声で礼を言った。

ビビアンは、気落ちしたマリーに、

「とにかく、今はまだ休んで!」

と、言いながらマリーを寝かせると、そのまま布団を掛けた。
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