能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!
森の中の小道

マリーは一人元気に、来た道を引き返していた。

普通ならとぼとぼと歩くところだが、そうはならない。
なぜなら、途中でパーティーを追い出されるのはこれで3回目だからだ。

1回目は同じパーティーの男二人がマリーの奪い合いを始めたことにより、解雇。

2回目は、同じパーティー内の男がマリーに執着し、ストーカーまがいの行為を始めた
為、他のメンバーから討伐に支障をきたすと判断され解雇。

そんなわけで、とうとう3回目の離脱となった。

正直、ビクトリアからの執拗ないじめや勇者ミハエルのアプローチにはうんざりしていたので最初足取りは軽かったが、
3回目ともなると、ランクが落ちる。最初はSランクだったが、離脱の度にランクが落ち、
現在はBランク。勇者ミハエルご一行様が討伐終了の手続きをしたら、その時点からマリーはCランクに
落ちてしまう。給料は下がるし、仕事もさらに減るだろう・・・。そう考えると、次第に足取りは重くなって行った。

「はあ・・・。」

マリーは大きなため息をつくと、きょろきょろと周りを見回した。周囲に誰もいないことを確認すると、
マリーは右手の人差し指をピンと伸ばすと、空に小さな円を描くようにくるりと回した。

すると、マリーの前髪がふわりと上がり、マリーの美しい薄紫色の瞳がオーロラ色に輝いた。
そしてマリーの全身が光ったかと思うと、次の瞬間、跡形もなく、マリーの姿は消えていた。


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