能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!
城壁
ビビアンは一足早く、お城の城門が見える草むらに到着した。
ビビアンはそのまま、城門近くから離れ、遠巻きに城の周りを歩いた。
「ここだ!」
草むらの中に、まあるく少し窪んでいる所があった。
ビビアンはしゃがむと、そこから少し顔を出し、城の方を見た。
大きく高い壁が見える。
その周りを、時々、兵隊らしき人と、魔法隊らしき人が、交互に歩いていた。
ビビアンはポケットから懐中時計を出し、時間を測っていた。
すると、突然、その窪んだところに、マリーとレオナルドが現われた。
「ひっ!」
と、ビビアンの声が漏れ、驚きのあまり尻もちをついた。
移動魔法でマリーとレオナルドが到着したのだ。
「ごめん。」
と、マリーが小声で謝ると、
「いや、ちょっとびっくりしただけ。」
と、ビビアンも小声で答えた。
「そうだ、ここ、ここ。懐かしい。小さい頃ここでよくお城を見てたよね。」
マリーが懐かしそうに言った。すると、ビビアンが、
「たまに、少年が何してるんだ?って絡んできてたよね。」
と言うと、マリーも
「あった、あった。で、結局一緒に遊んで・・・・。」
と、言いかけたところで、ビビアンが、真剣な表情で、
「まあ、思い出は話はこれくらいにして、1分おきに兵士と魔法隊が交互に巡回に来ているわ。」
と言った。
「やっぱり・・。中に運ぶのは無理そうだね。」
と、マリーが言うと、
「兵士が通ったあと、魔法隊が通るまでの間にレオナルドさんを壁際に運べればいいんだけど、
でも、たった1分じゃ、とてもじゃないけど運べない。もし運んでいるのを見られたら、
捕まってしまうかも。」
と、ビビアンが言った。
「大丈夫。移動魔法でなんとかする。」
と言った。
「でも、今使ったばっかりよ。そんな連続で行ける?」
「分からない・・・。でも、レオを助けるにはもうこの方法しか・・・。」
「分かった。あとのことは何とかするから。とにかく、マリーはレオナルドさんを城壁に置いたら、
戻って来て。」
「わかった。ありがとう。ビビアン。」
と言うと、マリーは、レオナルドに覆いかぶさり、指を上に向け、移動魔法を使った。
シュン!
一瞬で、マリーとレオナルドの姿がビビアンの視界から消えた。