能ある魔女は目を隠す？！二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました！

翌朝

まだ、皆が寝ているうちに、マリーはビビアンの冒険者協会をそっと出た。

ビビアンに別れを言うのがつらいのと、これ以上おじさんに気を遣わさせたくなかったからだ。

おじさんのことだから、きっと他の冒険者協会へ紹介状を書いてくれているだろう。でももし、

それを使ってしまったら、また、きっとっ魔女を逃がした罪で、

ビビアンの冒険者協会に迷惑をかけてしまうかもしれない・・・。

もう、関わってはいけないんだ・・・。

そう考えながら、マリーはどんどんと、隣村に続く道を歩いていた。

もしかしたら、勇者ミハエルが待ち伏せしているかもしれない・・・。

マリーは勇者ミハエルの事を思い出し、あの納得のいかない表情が、なんとなく頭から離れなかった。

マリーは念のため、勇者ミハエルを避けるべく、遠回りになるが山道を行くことにした。

もし魔物やが魔獣が出て来ても、山道で誰もいなければ思い切り魔法が使える。

身の危険の心配はない。

順調に山道を進んで行き、丁度、峠に差し掛かったころ、突然、脇道からザックが現われた。

「ザック？！」

驚いたマリーが言うと、

「やあ、マリー、久しぶりだね。」

と、言った。

「一体、どうしたの？こんなところで。」

マリーはザックに言うと、

「マリー、パーティーに戻ってきてくれないか？」

と言った。

「ザック・・・。そう言ってくれるのはありがたいんだけど、もうパーティーには戻る気はないの。」

と言った。

「どうして？」

ザックが聞く。

「それは・・・」

マリーは勇者ミハエルのことを言いかけたが、ザックは勇者ミハエルを信用している。

どう言えばいいのか、迷っていると、

「俺がいるからかい？」

と、マリーの背後で聞き覚えのある声がした。

勇者ミハエルだった。