能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!

貴賓室

城内 貴賓室

マリーが目を覚ますと、見たこともない美しい天井が見えた。

マリーの身体にはふかふかの高級な布団が掛けられていた。

ここは一体どこ?天国にしては感覚がある・・・。

マリーはゆっくりと体を起こし、周りを見回した。

明らかに場違いな豪勢な部屋だった。

まず部屋がものすごく広く、ベッドはとても大きかった。

壁紙から絨毯、調度品に至るまで、今まで見たことのない豪華さだった。

マリーの服も、きれいな寝着に替えられていた。

マリーが状況を把握出来ず、戸惑っていると、

ゆっくりと静かに扉が開いた。

かわいらしい容姿の、マリーと同じ年くらいのメイドが部屋に入ってきた。

「あ、お目覚めになられましたか?」

と言った。声までかわいかった。

マリーがぽかんとしていると、

「あ、申し遅れました、私はメイドのメグと申します。」

と言った。マリーは、少し考えてから

「私は・・・マリーと言います。」

と言った。マリウスと名乗るべきかマリーと名乗るべきか一瞬迷ったが、

服を替えられている以上、性別を偽る必要はないと判断した。

メグは、

「どこか痛むところはございませんか?」

と、マリーに聞いた。

「あ、えっと・・・。」

マリーは咄嗟に頬を触った。ミハエルに打たれたはずのところが全く痛くなくなっていた。

殴られたお腹や倒れた時に膝をついたが、痛みの痕跡すらなかった。

マリーは不思議に思いながら、

「痛いところはありません。」

と言うと、

「よかったです。魔法隊のヒーラーが見える範囲の外傷は治癒してくれましたから。」

と、メグは言った。マリーは、すぐに、

「魔法隊のヒーラーの方にお礼を言いたいんですが・・・。」

と言った。もしかしたら、レオがどうなったかを知っているかもしれない。

マリーは気を失っていた為、魔法塔の中で起きたことを一切知らなっかった。

メグがは、

「ヒーラーの方は、マリー様の傷を治すと、すぐに出立されました。」

と、言った。マリーは

「そう・・・ですか。」

と、少し残念そうに言った。メグは、

「少々、お待ちください。」

と、言うと、扉を半分ほど開け、扉の前にいる兵士に、

「お目覚めになられました。」

と、報告すると、すぐにマリーの傍に戻って来て、

「失礼しました。」

と、言った。

マリーは未だに状況を把握出来ておらず、メグに質問した。

「あの・・・ここは?」

と言うと、メグが何かを思い出したように、

「ああ、申し訳ありません!」

と、謝った。
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