能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!
謁見
謁見室
謁見室はとても広く、一番奥には5段ほど段差があり、その一番上に豪華な玉座が3つ並んでいた。
赤い絨毯が敷かれ、赤い絨毯の端は金色で覆われていた。部屋の壁側には、衛兵らしき人達が並んで立っていた。
「ではこちらで、お待ちください。頭は上げずに。王様から発言の許可が下りるまで、
口を開かぬようお願いします。」
と、執事に言われ、マリーはひざまづくと、そのまま頭を垂れた。
パッパパー
高らかにラッパの音が鳴り響いた。
すると、玉座に一番近い扉が開き、王子と王様が入って来た。
王子と王様が玉座に座った。
王様が口を開いた。
「そなたが、マリーか?」
「はい。」
「面を上げよ。」
と言われ、マリーはゆっくりと顔を上げた。
王様は、白い長い髪と鬚を蓄えており、、若干痩せているように見えた。
すると、王様は、
「マリーが取ってきた氷竜花のおかげで命が助かった。礼を言う。」
「???」
マリーは不思議に思った。王様の為に取って来たわけではない。そもそもレオナルドが
氷竜花を探していたのだ。そして氷竜花はレオナルドが持っていて、
そのレオナルドの安否も不明である。なぜ王様のところに渡ってしまったのか。
それに、なぜ私が取ってきことを知っているのか・・・
疑問が次々と浮かんだが、王様に話し掛けていい身分でもなく、もし聞こうものなら、
不敬罪で罪に問われるかもしれない・・・。マリーは聞きたい気持ちをぐっとこらえた。
「マリー、お礼に何でも望むものを用意しよう。なにがいい?」
マリーは少し考えてから、
「では、住むところが欲しいです。」
と言った。
「そんなものでいいのか?金や宝石、欲しいものを言っていいんだぞ。」
と言った。
「いえ、住むところで。」
本当にそうだった。ビビアンのところを逃げるような形で出て来たので、住む家がないのが、
マリーにとって今一番切実な問題だった。
「分かった。では用意し・・・。」
と、王様が言いかけたところで、隣の玉座に座っていた男が、
「では、マリーを私の妃にしましょう。それならここに住めばいいんですから。」
と、口を挟んだ男がいた。王子である。金髪に碧眼で線は細いが、確かにメグが言った通り、ハンサムで
優しそうだ。
「何を言っている。お前は隣国の姫と婚約しているだろう。」
と、王様が言うと王子は、
「では、側室にします。マリー、どうだろう?」
と言った。
「え?あ、あの・・・。」
マリーが返事に困っていると、
「この話は、今すぐ結論を出す必要はない。マリー、しばらく城で過ごしながら考えるといい。
もし断っても、そなたの不利になるようなことは一切ない。」
と、王様が言い、謁見を終了した。