もう一度キミと青春を。
千花さんの家には、タコ殴りにされた傷が癒えるまでの約1ヶ月間いた。


このままずっと千花さんの家にいたい、という話をしていた矢先、当時千花さんが経営していたカフェが閉店に追い込まれた。


原因は、蒼空のお父さん。


お母さんを暴力で脅して千花さんの店を特定し、悪評をバラまいた。


田舎の小さなカフェだったから、風のうわさレベルでも大打撃で客足は遠のき、ついに閉店せざるをえなくなった。


さらにそれだけではなく、千花さんの家まで特定し、蒼空と日和ちゃんを強引に攫っていった。


“親は私です。このまま引き渡さないなら誘拐監禁で通報します。そうなればもう二度とカフェは経営できないでしょうね。犯罪者の店になんて行きたくないですから”


お父さんはそう言って、泣き叫ぶ日和ちゃんと、暴れて抵抗する蒼空を車に押し込み、茅野家へ連れ戻した。


千花さんとの関係はそれっきり途切れていたけど、今の場所にカフェを再オープンできた事をきっかけにまた会うようになったそう。


1ヶ月に1回顔を出して、近況報告。


たまに真中さんを連れて行っていたのは、“ちゃんと友だちと上手くやってるよ”というアピールで、千花さんを安心させようと思ってやってたことだった。

< 106 / 226 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop