もう一度キミと青春を。


蒼空がうちにやってきて、ニコニコしながらおじいちゃんおばあちゃんと話している。


晩ごはんの支度をお手伝いしたり、おじいちゃんの畑仕事を手伝ったり、まるでこの家の子のようにナチュラルに振る舞う姿にドキッとする。


結婚したらこんな感じなのかな?なんて、考えてしまって…。


ご飯を食べ終わるとすぐに蒼空はお風呂場に直行した。


不思議に思って覗きに行くと、当たり前のようにお風呂掃除をしてくれていた。


「掃除は私がやるからゆっくりしててよ」


「ん?なんか癖で。やらなかったら怒られる気がしてさ」


…こんなところにも、虐待の影が見えるとは。


さっきからずっと何かを手伝っているのも、そうしていないと家では叱られるからだったのかもしれない。


茅野家の叱られるは、殴られると同義だ。


毎日毎日息の詰まる日々を送っているんだ。


そして蒼空はそれが当たり前だと思っている。


「そんなことで怒らないよ。だから今日くらいはゆっくりしてて」


「…そっか。じゃあお言葉に甘えて」


蒼空からスポンジを受け取った途端、おじいちゃんがお風呂場にやって来た。
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