もう一度キミと青春を。
蒼空の家をへ向かって走っている途中、向かいから真中さんが歩いてくるのが見えた。


「真中さん!」


真中さんなら何か知っているかもしれない。


毎年夏祭りの日は、真中家で日和ちゃんを預かってもらっていると蒼空が言っていた。


「森下さん…。森下さんも蒼空を探してるの?」


森下さん“も”。


「真中さん、何か知らない?」


「残念ながら。森下さんなら何か知ってると思ったんだけど。ホント、どこ行ったんだろ」


真中さんは虐待のことを知らない。


だから焦っている素振りはなく、連絡不精なことへの苛立ちの色が見え隠れしている。


「日和ちゃんを預かる予定だったのに、蒼空と連絡がつかないもんだから、困っちゃって。家に行っても兄妹揃って留守だしさぁ」


連絡の1つくらいくれてもいいじゃんね、と不貞腐れている真中さん。


「日和ちゃんもいないの?」


「うん。蒼空のパパに聞いたら朝から2人で出掛けてるって。どこに行ったのかは知らないって言ってた」


……。


なにか引っ掛ける。


蒼空が日和ちゃんを朝から連れ出すかな…。


虐待を受けてボロボロなのに。


昨日まで祭りに行く気満々で話をしていたのに。


その祭りをドタキャンしてまで日和ちゃんと出掛けたりする…?
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