もう一度キミと青春を。
「蒼空の両親は何て言ってるんですか?」


律がおじいちゃんと真中さんを交互に見る。


「紬が話したときは、朝から出掛けてるって」


「祭りが始まっても戻ってこないことを知って、慌てて探し始めて、今でも探し回ってる」


何がどうなっているのか。


蒼空の両親の言うことは信用できない。


今だって、本当に探しているとは思えない。


本当は蒼空の居場所を知ってるんじゃ?


「花純は?蒼空から何も聞いてないの?」


虐待のこと、話してもいいのかな。


でも…、変な噂が広まれば蒼空がさらに痛めつけられる…。


「……聞いてないよ」


「そっか…」


重い重い沈黙。


遠くで雷が落ちた。


「蒼空…無事だよね…?」


「大丈夫。蒼空は絶対大丈夫だよ」


萌音が背中をさすってくれた。


でも。


でも…。


結局、蒼空は見つからなかった。


それどころか、茅野家そのものが村から姿を消してしまった。
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