もう一度キミと青春を。

運命


「森下おはよう!」


「おはよう。今日朝練じゃないの?」


教室に入るなり赤嶺くんに声をかけられた。


彼は毎朝朝練があるから教室に来るのは予鈴ギリギリ。


だけど今日は余裕を持った時間にいる。


「さっき、信じられないほどのイケメンを見かけて、見惚れてたら段差踏み外して捻挫した。だから今日は休み」


あっけらかんと笑い飛ばす赤嶺くん。


彼はエース候補だ。


バスケが大好きだし練習も日々頑張っている。


本当は悔しいんじゃないかな…。


こんなふうに無理して笑ってるけど。


赤嶺くんは、時折蒼空と重なる。


底抜けに明るいところ、皆の人気者なところ。


笑顔の裏に自分の感情を隠しがちなところ。


たまに思うんだ。


彼が蒼空ならよかったのに、と。


最低な奴だなと自分でも分かってる。


赤嶺くんは赤嶺くんなのに。
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