もう一度キミと青春を。
せっかく隣の席なのに…。


挨拶しても素っ気無いし、話しかけてもほぼ無反応というのを繰り返されると、もう心は折れかけている。


それでも諦めたくない。


「…桐谷くん、おはよう」


“蒼空”って呼ぶと怪訝な顔をするから、いつしか“桐谷くん”と呼ぶようになった。


私が知っているのは“茅野蒼空”なのに。


まるで知らない人に話しかけているみたい。


「ねぇねぇ、部活入らないの?」


体育で運動神経の良さが分かってからは、いろんな部からスカウトされているらしい。


中学生の時から運動神経よくてカッコよかったもんね。


体育会では女子にキャーキャー言われてて嫉妬したなぁ。


でも、ハチマキ交換できて嬉しかったな。


蒼空は覚えてないのかな。


私はこんなにもハッキリと覚えているのに。
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