もう一度キミと青春を。

―――
――

結局、蒼空とじっくり話したいという願いは叶わなかった。


私と関わることを真中さんが禁じているんだろう。


どうしてそんなことされなきゃいけないの。


蒼空の彼女は私だったのに。


蒼空の記憶がないのを良いことに、自分に都合の良い話をでっちあげて、それを信じ込ませるなんて、最低だ。


「森下、最近ずっとイライラしてない?」


「え?」


「ここ、シワ寄ってる」


赤嶺くんが私の眉間に触れた。


「悩みがあるなら聞くからね」


「……大丈夫だよ。ありがとう」


蒼空の話だから赤嶺くんには話しづらい。


「今日ちょっとだけ寄り道しよーぜ」


「いいけど、どこ行くの?」


赤嶺くんが部活に復帰してからも、一緒に帰るのが当たり前になっていて、いつも部活終わりに教室に迎えに来てくれる。
  

「新しいクレープ屋ができたの知ってる?」


「へ〜、そうなんだ」


二人並んで校門を出て、クレープ屋さんに向かう。


放課後、寄り道してクレープを食べる。


2年前まで私が思い描いていた蒼空との未来。
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