もう一度キミと青春を。
縮まる距離
巡る季節は人を待ってはくれない。
鬱々とした梅雨は過ぎ去り、木々は青々と生い茂る。
ジメっとした暑さが、カラッとした気持ちの良い暑さに変わり、太陽は爛々と私たちを照らし続ける。
「暑い…。暑すぎる…」
「それな!暑いだけならまだしも、セミがうるさすぎて授業に集中できない」
「わかる〜。英語のリスニング中とか最悪だよね」
奏と2人、食堂で設備の悪さを嘆く。
クーラーが壊れかけなのか全然効かず、窓を開けて授業をするからセミの声が耳に突き刺さる。
夏が本格化する前に、数日後にはクーラーの修理が入るらしいけど、もうすでに暑さの限界を迎えている。
「図書室超涼しいよ。食べ終わったら涼みに行こ」
「ほんと?行こ行こ!」
そういえば、今年になってから一度も図書室に行っていない気がする。
なんなら、去年も行っていないかもしれない。
「あっ!赤嶺ー!ここ、使う?」
少し離れた場所で席を探している舜くんに、奏が手を振る。
「いーの?そっち行くわ!」
舜くんはバスケ部の友だち2人を連れて私たちの方へやってきた。
「私たちもう食べ終わるから、ここ使っていーよ」
「助かるー。てかお前ら食うの早くね?」
「女子は体育がちょっと早く終わったんだよ」
「へー」
「もう少し興味持って聞け!」