何度でもキミに恋をする(旧題:もう一度キミと青春を)
「花純、図書室ここだよ」


通り過ぎようとしてしまった私の手を掴んで引き止めてくれた。


「誰かいるのかな?」


電気がついている。


引き戸を引いて中に入ると、窓辺の席で本を読む金髪の後ろ姿があった。


「涼し〜」


奏の声が大きかったのか、金髪をなびかせて彼が振り向く。


「あ、桐谷くんだ。いつも図書室にいるの?」


奏は何も気にせず、ズンズンと窓辺に近づいていく。


図書室には蒼空しかいない。


帰りたい。


でも奏は蒼空と話を続ける。


帰りたい。


蒼空の声、聞きたくない。


蒼空の顔、見たくない。


図書室といえば、思い出す。


自分にも父親の血が流れているんだと、不安を打ち明けてくれたあの日を。


「図書室、好きなの?」


「……まぁ。本が好き」


…あの日と同じ答えだ。


「おすすめの本、ない?」
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