何度でもキミに恋をする(旧題:もう一度キミと青春を)
グイグイくる奏に困惑気味だけど、スッと立ち上がって本棚から一冊の本を取り出した。


「これかな。友坂さん、明るい性格だし」


蒼空が何の本を渡したのかは見えない。


けど、奏が感心したような顔をしている。


「花純。花純もおいでよ」


!?


いつもは空気を読んでくれるのに、どうして今日に限って。


存在を消していたのに…。


「ねぇ、花純にもオススメの本選んであげてよ」 


奏が執拗に私を手招きする。


やめてよ…。


私と蒼空はもう他人なのに。


まったく仲の良くないただのクラスメイトなのに。


「…どういうジャンルが好き?ミステリー?」


え…?


…え……?


「…なんで……」


昔、話したことがあった。


ミステリーが好きって。


その時勧められた本のタイトルは今でも覚えている。


「どうして私がミステリー好きだって知ってるの…?」


一歩ずつ、蒼空の方へ足を運ぶ。
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