もう一度キミと青春を。
「他には何か夢を見ない?星を見た夢とか、千花さんのお店に行った夢とか!」


「なんで、その名前を…」


蒼空の表情が動いた。


困惑の表情。


目が泳いでいる。


「蒼空が話してくれたんだよ。千花さんのお店で、蒼空の家庭環境を聞かせてくれた」


「え…?」


「思い出してよ…っ。思い出してよ、蒼空…っ」


もう少しなんだ。


あと少しできっと、思い出してくれる。


「……森下さんは、俺の何を知ってる…?」


すがるような視線。


蒼空も思い出したがっているんだ。


「私、なんでも知ってるよ…っ」


「俺は…俺……は…ッウッ」


…え……?


「そ、蒼空!?」


「アァッ!!ウッ」


頭を抱えてうずくまり、床をのたうち回る。


「蒼空!?蒼空!?しっかりして蒼空!!」


「保健の先生呼んでくる!!!」


奏が走って図書室を出ていく。


「蒼空…!!蒼空…っ!!」


「うぅ…っ」


「痛い?どこ?頭?」


「…うぅーー」


意識がハッキリしない。


多量の汗が額に浮かんでいる。


ガッ―


蒼空が私の手を掴んだ。


「蒼空!!大丈夫だよ、もうすぐ先生来るからね…っ!」


< 222 / 226 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop