もう一度キミと青春を。
手を握り返して甲をさする。


大丈夫、大丈夫。


自分にも、蒼空にも、言い聞かせる。


「やく……そ……」


「え…?」


「やく、そ…く。いっし……に…い…よ……」


え…?


「か…す…み………」


…!!!


「蒼空…っ!!蒼空ぁぁっ!!大丈夫だからね…っ。すぐ、先生来るから…っ」


蒼空の頬にポタポタと涙が落ちる。


「蒼空っ…」


“約束”“一緒にいよう”“花純”


「蒼空…っ!!」


「か…すみ……」


「私はここにいるよ!花純だよ!ここだよ!!」


蒼空の指が震えている。


「て…ばな……さな…い」


蒼空…っ。


うわ言はずっと、私たちの想い出。


私のこと、忘れてなかったんだね…っ。


思い出そうとしてくれてたんだね…っ。


「蒼空…っ」


好きだよ、蒼空。


ずっと一緒にいたいよ。


手放したくないよ。


約束、したもん。


だから、いなくならないでよ…。


「蒼空……っ!」
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