何度でもキミに恋をする(旧題:もう一度キミと青春を)
「今日も残って勉強するの?」


「…うん。家にはあまり帰りたくないから」


「そっか。…私の家、来る?」


遠慮がちに私の顔を覗き込んで聞いてくれた。


そして、ハンカチを私の目に押しあてる。


「涙拭いて、私の家で過ごそうよ。ね?一人じゃ心配だから」


「でも……迷惑じゃない…?」


「迷惑なわけないでしょ?てか、私の恋バナも聞いてほしいし。学校じゃ話せないじゃん?」


そう言って、私と腕を組んで廊下に引っ張り出してくれた。


「ありがとう…」


奏と2人並んで廊下を歩く。


「…私、まだ蒼空のこと好きなのかな」


もう、自分の気持ちがわからない。


舜くんと仲良くして、毎日が楽しくて、このまま付き合ってもいいのかもって思ったりもした。


でも、久しぶりに蒼空と話せて、あの頃の恋心が蘇って…。


私との思い出が記憶には残っていることを知って、諦めそうになっていた心に火がついてしまった気がするんだ。


舜くんが“付き合って”と言ってこないことを良いことに、自分に都合のいいように関係を築いてきた。


すごい醜いね、私。
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