何度でもキミに恋をする(旧題:もう一度キミと青春を)
「俺、いつどこで倒れた?」


私…に聞いてる…?


奏…?


でも、目は私と合ってるよね…?


私と会話する意思があるってことだよね…?


「えっと…、昨日のお昼休みに、図書室で…。覚えてない…?」


オススメの本の話とか、千花さんの話題とか…。


交わした会話は少なかったけど、私は一言一句違わず覚えている。


蒼空は?


昨日のこと、覚えてくれてる…?


「図書室で本を読んでたところまでしか覚えてない」


蒼空は感情の読み取れない能面のような顔をしている。


「じゃあ…私と話したことは何も…?」


「うん」


そんな…。


せっかく、距離が縮まったと思ったのに…。


あの時のこと…忘れちゃったんだ…。


奏の手が背中に触れた。


“大丈夫だよ”と慰めてくれているように感じ、余計に涙が零れそうになる。
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