何度でもキミに恋をする(旧題:もう一度キミと青春を)

約束


「あら。今日は早かったのね」


家に帰ると母が冷たい視線を向けてきた。


実家に戻って2年目になるけど、未だにこの人から優しい視線を感じ取れたことがない。


「期末テスト、そろそろでしょう。ちゃんと勉強してるの?」


「してるよ」


「昨日部屋を掃除してたら、こんなのが出てきたんだけど?」


荷物を置いて息をつく間もなく、帰宅したばかりの娘を怒る。


しかも母が手に持っているのは、1点ミスしただけの答案用紙。


授業頭にある10店満点の小テストで、9点だった。


でも、クラスに満点だった人はいない。


私が1番出来が良かったのに。


そんなことをこの人に言ったって通じないことはもう分かっている。


無視して自分の部屋に鍵をかけて立て篭もる。


「ちょっと!出てきなさい!!」


ドンドンドン!!ドンドンドン!!


狂ったようにドアを叩き続ける母親。


耳を塞いでも鼓膜を突き破ってくる。


「もううるさい!!」


なんで1問間違えたぐらいでこんなことされなきゃいけないんだろ。


おじいちゃんおばあちゃんのところへ戻りたい。


愛を感じられた、幸せだったあの頃に戻りたい。
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