何度でもキミに恋をする(旧題:もう一度キミと青春を)
「…蒼空と関わるなって言いたいんでしょ?」


「そうよ」


「フラレたからって、今度は私に直接攻撃するの?」


「違う」


真中さんの視線が揺らいだ。


「…蒼空がどんな思いしてたかわかる?信じてた人に嘘をつかれてるかもって疑念を抱いたとき、どんなに不安になったか、想像できない?その疑念が確信に変わったとき、どれだけ傷ついたか、わからない?」


蒼空は自分が誰かさえ分からない不安定な状態で、真中さんという信頼できる人を見つけた。


それなのに、真中さんはそれを裏切ったんだ。


「…まさかあなたが蒼空と再会するなんて思ってもなかったから」


「なにそれ。じゃあ私たちが再会しなかったら、ずっと騙し続けるつもりだったの?そこまでして蒼空を手に入れたい?蒼空を騙して付き合って、満足した?虚しくないの?」


まるで“あなたが再会したのが悪い”と言いたげな口調に心底腹が立つ。


蒼空の人生を、蒼空の記憶を何だと思っているんだろう。


「蒼空は真中さんの所有物じゃない。操り人形にしないで」


「……。場所を変えて話しましょ。ここじゃ人目につく」


「これ以上話すことなんて―」


「いいから!ついてきて」
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