何度でもキミに恋をする(旧題:もう一度キミと青春を)
2年前の夏-Chika side-
7月31日。
この日付は忘れもしない。
全身ズタボロ、いたるところに血をつけた蒼空が、私のカフェに逃げ込んで来た日。
蒼空はスマホも財布も何も持たず、身一つで震えながら店に来た。
「ち…千花ちゃん…っ」
私の顔を見るなり、蒼空は堰を切ったように号泣した。
慌ててバックヤードに連れていき、蒼空が好きなミックスジュースを渡す。
「千花ちゃん、助けて」
ミックスジュースには口をつけず、私の腕に縋りついて泣き続ける蒼空。
顔にはいくつもの生傷があり、血が滲んでいる。
金色の髪は血でベトベト。
「何があったの…?」
並々ならぬ事態に、声が震える。
「とりあえず、病院行こう。今日は店閉めるから」
幸い、まだお客様は一人もいない。
蒼空にティッシュを渡し、表に出て臨時休業の張り紙を貼る。
「……。連絡はすべきじゃないか…」
一度取り出したスマホをポケットにしまい、店に戻る。
姉の沙和(さわ)のことも心配だけど、今私が連絡すると蒼空の居場所がバレてしまう。