何度でもキミに恋をする(旧題:もう一度キミと青春を)
「蒼空、病院行こう」


戻っても蒼空の涙は止まらない。


ソファの上に体育座りして体を丸めている。


「行きたくない…」


「ううん、行かなきゃ」


到底自然治癒できる傷じゃない。


入院が必要なレベルの怪我だ。


「これくらいの傷、放っといたら治るから」


どう説得しても頑なに拒否し続ける蒼空。


“治るから”“大丈夫だから”の一点張り。


「病院が怖い?」


膝の間に頭を埋めたまま首を横に振る。


「なんで行きたくないの?」


「…俺だけ…。俺だけ助かるなんて、最悪だから」


か弱い声が返ってきた。


「日和ちゃん…?」


「日和を置いて逃げた…。俺は…日和を守らなかった」


また嗚咽が強くなる。


「守らなかったんじゃなくて、守“れ”なかったんでしょ?」


「ちがう…」


蒼空がガタガタ震え始めた。


…今まで蒼空がこうなったことはなかった。


よほどのことがあったんだ…。


一体何が…。


「大丈夫よ、蒼空…。蒼空のことは私が守るから。だから、もう怖がらないで」


ギュッと抱きしめても震えは止まらない。


「どうしよう、俺……。俺のせいだ…」


「違うよ。蒼空のせいじゃない。悪いのは父親だよ」


「違う…っ」
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