もう一度キミと青春を。
「…家が隣なのは紬だけだもん」


不満げに頬を膨らませ、蒼空を見上げる真中さん。


この子、きっと蒼空にベッタリなんだろうな。


蒼空も嫌そうにしないし。


昨日言ってた、秘密の滝を知っている幼なじみって、真中さんのことなのかな。


蒼空が大切にしてる人ってことだよね。


「隣っつっても、だいぶ離れてるけど」


「隣は隣でしょ」


「……どした?今日機嫌悪い?」


「ふんっ。その人と仲良くすれば?じゃあ紬先行くから」


真中さんはもう一度私を睨みつけてから校舎の中へ消えていった。


…結局、田舎も都会も同じなんだ。


男女が仲良くするとロクなことにならない。


これじゃなんのために田舎へ逃げてきたのか分からない。
< 29 / 226 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop