もう一度キミと青春を。
校舎に足を踏み入れると、ドクンドクンと心臓が不規則に波打つ。


大丈夫大丈夫…。


ここにはあのイジメっ子はいない。


ここでは誰も私のことを知らない。 


だから大丈夫…。


「…無理しなくてもいいと思うよ」


「……ううん。今頑張んなきゃ、ずっと頑張れない人になっちゃうから」


「花純は偉いな」


…そう、かな…。


そんなふうに思ったことはなかった。


学校に行けなくなる出来損ない、ダメな奴。


嫌な場所から逃げ出した意気地なし。


私はそういう人間だ。


「職員室行けばいーのかな」


「うん…。おばあちゃんからそう聞いてる」


職員室も嫌い。


ノックして入って、自分の名前と学年を名乗っても誰も見向きもしてくれないあの感じが苦手だ。


〇〇先生はいますか、と聞いても誰も返してくれない冷たい職員室。


いじめの相談をしたくて、勇気を出した矢先にそんな扱いをされたら、せっかく出した勇気も引っ込んでしまった。
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