もう一度キミと青春を。
「父親に殴り殺されそうになった日、千花ちゃんが助けてくれた」


…え……?


え…?


今…なんて…?


「俺たちのことを一時期に保護してくれて、匿ってくれてた」


殴り殺されそうって何…?


保護って…?


何も言えない私を気にすることなく、蒼空がシャツの袖を捲くり上げた。


夏でも長袖の理由は、日光アレルギーなんかじゃない。


数えきれないほどの打撲痕。


白い肌が青紫色に変色し、内出血の痕がたくさん残っている。


これを隠すために、長袖を…。


“過剰に謝る癖”
“顔の近くに手を持っていっただけで怯える仕草。気になって”


あの時、蒼空が指摘した私の仕草…。


やっぱり、蒼空は私に自分の影を見ていた。


だから見透かしたように私の心を読めたんだ。


「父親は、DVで母親を追い詰めて、俺と妹のことを虐待してる」


今日初めて、蒼空の声が震えた。
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