もう一度キミと青春を。
――DV


――虐待


蒼空のお父さんが…。


「だから家に来るなって…?」


「そ。何されるかわかんないじゃん。俺も、花純も」


そう…だったんだ……。


「ずっと学校を休んでたのは、首とか顔にも痣ができて学校に行けなかったから。夏バテなんかじゃない。花純に来てほしくなかったのは、バレたくなかったのもあるし、花純が危ないと思ったから。すぐに既読をつけたのは、まさか来ると思ってなくて焦ったから。無事を確かめたかったから」


焦点をどこにも合わせずに淡々と話す蒼空。


何も映さない真っ黒な瞳…。


「他に聞きたいことある?知りたいんでしょ、俺のこと」


口は笑ってるのに目は1ミリも笑っていない。


これが、仮面の下の蒼空…なんだ…。


「本当の俺は、居場所のない無価値な人間なんだよ」


「そんな…。なんでそんなこと…」


どうしてそんなこと言うの?


なんて、残酷なこと…聞けなかった。


そんなことを思わざるを得ない環境に耐えてきたから…。


だから蒼空は身体にも、心にも、大きな傷を抱えている。
< 90 / 191 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop