もう一度キミと青春を。
「この話は誰にも言ってない。花純が初めて。だから秘密にしててね。俺の明るいイメージ、壊れちゃうと困るじゃん?」


クラスの中心で見せる笑顔で、私に笑いかける。


「…偽物の笑顔」


蒼空のその笑顔は作り物だ。


本心を隠すために無理矢理笑ってる。


ううん、無意識なのかもしれない。


心に蓋をするために、無意識に笑って自己防衛してるのかもしれない。


「無理して笑わないで。感情に蓋しないで。本当の蒼空を見せてほしい」


「本当の俺に何の価値があんの?」


ここに来て初めて目が合った。


その瞳には警戒の色が浮かんでいて、言葉選びを間違えることができない緊張を感じる。


言い方ひとつ、言葉ひとつで、蒼空の開きかけた心が閉ざされてしまいそう。


でも、伝えたい。


私が臆病になっちゃダメ。


「価値のない人間なんていない。そう教えてくれたのは蒼空だよ」
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