もう一度キミと青春を。
「…“太陽”な俺は、本当の俺じゃないでしょ?仮面被った俺が“太陽”なんだと思う」


「違うよ。蒼空が私の傷を癒せたのは、蒼空にも同じ傷があったからでしょ?だから私の心にいち早く気づいて、救ってくれたんでしょ?それって、仮面の蒼空じゃなくて、本当の蒼空でしょ」


蒼空じゃなきゃ癒せなかった。


蒼空が同じ傷を負った仲間だから、私のことに気づいてくれた。


もし蒼空がただ底抜けに明るいだけの人間だったなら、私の傷に気づくことはなかっただろうし、私が救われることもなかった。


「蒼空は無価値なんかじゃない。私が生きてることがその証明だよ」


蒼空の瞳が微かに揺れた。


唇が震え、グラスを持つ手も震え、水面に波紋が広がる。


「蒼空……」


その手に自分の手を重ね、ぎゅっと握りしめる。


「蒼空は一人じゃない」


だからもう、一人で抱え込まないで…。


「…ずるいって」


スーッと一筋の涙がこぼれ落ちる。


痣だらけの腕に次々と涙が落ちていく。
< 93 / 191 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop