もしも運命を変える事が出来るなら…
「俺なんか働いてるせいで、学生の朝来(あさき)とはすれ違いばっかだぜ。
最近じゃメールも電話もない」

健悟は今にも泣きそうだ。

「わたしなら健悟にそんな悲しい顔、させないけどな…」

「はは、ありがと」

健悟は小さく笑う。

その時、

「あ~、いたいた!」

喜々良の中学時代の親友・紬(つむぎ)がやってきた。

「2人とも探したんだよぉ」

紬とは親友だったのに、何故か、喜々良はキョトンとしている。

「おい、どうした?
奈良橋(ならはし)だぞ」

健悟が小声で、喜々良の耳元に囁く。

「あ…あー、つむちゃん」

「喜々良、どーしたの?」

少しの間の後で、喜々良は紬を抱きしめた。

「えへへ、つむちゃん、大好き」

「え、なになに?」

紬は戸惑っている。
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