もしも運命を変える事が出来るなら…
「着いたぞ」

健悟が喜々良を見る。

「あ…ありがとう」

喜々良は先程から健悟の顔が見れずにいる。

「ききちゃん、おかえり」

喜々良の夫・佑典(ゆうすけ)が玄関のドアを開ける。

「ゆうちゃん、ただいま!
先に寝てて良かったのに…」

「ききちゃんてばハメを外しがちだから心配になって…」

「もうっ!
いつまでも子ども扱いしないでよ」

喜々良は頬を膨らませる。

「見置(みおき)、ありがとな」

佑典は健悟にお礼を言うと、静かに玄関のドアを閉めた。

「ききちゃんさ、まだ見置の事が好き?」

「へぇ?」

思わず変な声が出る。

「いや、全然だよ。
あんなサル」

喜々良が健悟をサル呼ばわりするのは、昔、健悟は窓から窓へ飛び移っていたからだ。
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