ムラマサ! ~道端でちょっとめんどくさいイケメンを拾いました~
「どう計算しても、俺の父親ではないんだが……。

 ……あいつ、あの母親に何故か惚れ込んで。

 尽くして尽くして一緒になってみたものの。

 うちの母親、元から、ほとんど家にいない人なんで。

 結局、母親より俺と過ごしている時間の方が長いという、哀れな奴ではあるんだよ」

 なんか、再婚した妻に逃げられ、親子で(わび)しくカップ麺すすっている図が頭に浮かぶが。

 よく考えたら、そのすすっている父と息子の背景は、あの大豪邸なので、なにも詫びしそうではなかった。

「親父に逆らっても、反抗期ですか、とか専務に言われるし……」

 反抗期なわけねえだろ、と言う村正に、
「……ということは、やはり中二病」
と思わず、呟いてしまい、

「何処から中二病が出てきた」
と睨まれる。

 いえ、ルーカスとか、キャスリンとか。

 あ、ビクトリアだったか。

 いや、どっちでもいいんですが。

 そういう心の名前があるのかと思っていたので。

 などと心の中だけで弁解しているうちに、村正は立ち上がる。
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