ムラマサ! ~道端でちょっとめんどくさいイケメンを拾いました~
 


「では、味噌樽と荷物をお置きになったら、用意が整うまで、お食事を待つお部屋にいらして下さい。

 一階の奥、滝の左手にあります万葉の間になります」

 そう微笑み、ユキコはあやめが使うことになる部屋に案内してくれる。

 すべてが意味がわからないんだが……。

 まだ木の香り漂う広い廊下を歩きながら、あやめは思う。

 まず、お食事を待つ部屋ってなに?

 家の中に滝?

 万葉の間?

 それらの疑問を問題のお食事を待つ部屋で村正にぶつけると、

「ああ、ここ、旅館にする予定だった建物だからな。
 1日、3組限定の。

 やっぱり違う感じにしたいってオーナーが言い出して、船の宿をつくり始めたらしく。

 そっちに全力を注ぎたいから、こっちをどうしようかって話になったんだそうだ。

 そしたら、うちの母親が、

『あら、大きな船の宿っていいわね。
 村正に旅館の方買わせるわ。

 あの子、まだ奥さんと暮らせるような大きな家持ってないから』
とか言って、勝手に買う話をまとめてしまったんだ」

 なんだろう。
 またいろいろ突っ込みたいのだが。
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