ムラマサ! ~道端でちょっとめんどくさいイケメンを拾いました~
「あの~、雇うお金がありません」

「そんな高そうなスーツ着てるのにか」

 まあいい、と言った男は、
「今ならお試し価格、五百円だ」
と言う。

 あやめは、一応、財布のガマ口を開けてみた。

「五百円玉がありません」

「じゃあ、千円でもいい」

 札入れを覗いてみた。

「千円札もありません」

「一万円でも」

「いや、上がってってるじゃないですか」
と言おうとしたあやめの言葉に被せるように、男はキレ気味に言ってきた。

「お前、いくらなら持ってるんだ?
 所持金はいくらだっ!?」

 ほんとうに社会人なのかっ? と言われてしまう。
< 4 / 372 >

この作品をシェア

pagetop