ムラマサ! ~道端でちょっとめんどくさいイケメンを拾いました~
 


 朝、あやめが職場に行くと、同期の小林たちが急いでやってきた。

「あやめっ。
 お前の彼氏は外国人だよなっ?」

「え?」

「違いますよねっ?
 猫ですよね? 北条さんっ」
と由良が祈るように手を合わせてこちらを見る。

「頼むっ。
 彼氏、外国人であってくれっ」
と小林も祈りはじめた。

 ……いや、なんなんですか、あなた方は、と思うあやめに、先輩の脇田が、

「どうなの? 北条。
 彼氏は外国人?」
と訊いてきたので。

「外国人の彼氏なんていませんよ。
 そもそも、彼氏なんていな……」

 言い終わる前に、脇田が、

「やったっ。
 僕の勝ち!

 彼氏、日本人じゃん」

 今日の社食、おごれよっ、と小林たちに言い出した。
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