ムラマサ! ~道端でちょっとめんどくさいイケメンを拾いました~
「その辺のコンビニ前にたむろってるヤンキーの方が金持ってるぞっ。

 バイトとか、バイトテロとかやってっ」

 テロはやっていないのでは……。

「若者への偏見すごいですね」
と言うと、突然、男は表情を暗くする。

「なに落ち込んでるんですか?」

「……俺はもう若者じゃないのだろうか」

 いや、見たとこ、二十代後半なんで、年齢的には若者だと思いますが、
と思いながら、あやめは言った。

「なんか、働き出したら、若者じゃない気がしませんか?」

「お前の方が偏見がすごいぞ……」

 何故、そう思う、と問われ、

「疲れ果ててるからですかね」
と答える。

 疲れ果てているのは、今の私だ、とあやめは思っていた。

 部署を変わったばかりで。
 また下っ()から、やり直しな感じになって。

 日々、ヒーヒー言っている。

 いや、人から見たら、淡々と、そして、黙々と仕事をこなしているように見えるらしいのだが。

 実際のところ、かなり疲れていた。

「そうか、わかった。
 疲れているお前のために、お試しで三日間、無料で俺を使わせてやろう。

 期間延長もございます」

 何故、いきなり敬語、と思いながら、
「……結構です」
とあやめは断った。
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