希望の光~たとえあなたが消えても愛し続ける~
希望の光
数ヶ月後。
あるニュースに、俺は愕然とした。


京夏さんの夫が殺された――


犯人は、すぐに逮捕された。
なぜなら、京夏さんが自首したから。


最初は、あまりの衝撃にすぐには受け入れられなかった。でも、たったひとつしかない真実から目を背けることはできない。
京夏さんが、最低な夫を殺めたことは間違いのない事実だったんだ。


あの優しい京夏さんが最悪の結論に至ったのは、毎日の生活が想像もできない程の地獄だったからなのか、それとも、夫を愛しているがゆえの結末だったのか――


俺には、わかるはずもなかった。


相手がたとえどんな卑劣な人間でも、京夏さんが犯した罪は果てしなく重い。
だけど、こんなの……
京夏さんがあまりにも可哀想じゃないか。
考えれば考える程、やり切れない気持ちが波のように何度も押し寄せる。


俺は、絶望という名の悲しみに、心も体も押しつぶされそうになった。
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