希望の光~たとえあなたが消えても愛し続ける~
「俺、京夏さんに何もしてやれなかった。何一つ救えなかった。最低だ、何が立派だ……」


悔しくて寂しくて、我慢なんかできなくて。
涙が枯れるまで泣いて、そのうち俺はただの抜け殻になった。


モデルの仕事も、レストランのバイトも、何もできない。生きていく意味もわからなくなりそうだった。


そんな時、手に取るのも怖くてずっと引き出しにしまっていた京夏さんの手紙を、俺は無性に読みたくなった。
彼女が「読んでほしい」と言ってる気がして。
不思議な気持ちに引きづられ、震える手で再び手紙を開いた。


『いっぱいいっぱい幸せになってね』


その一文を見た時、笑顔でそう言ってくれてる京夏さんの姿が思い浮かんだ。
枯れてしまったはずの涙がとめどなく流れる。


そうだ、京夏さんは、俺の幸せを真剣に考えてくれてた。誰よりも1番苦しいはずなのに、自分よりも俺のことを。


だから、俺は、ちゃんと生きていかなければならない――


たとえそれがどんなに悲しい現実だとしても、彼女のために前を向かないといけないんだ。


京夏さんが願ってくれた幸せ。
その温かな思いに向かって、まるでピンと張った糸のように、ひとすじの希望の光が見えた気がした。
< 20 / 22 >

この作品をシェア

pagetop