俺に夢中になれよ~純情秘書は溺甘副社長の独占欲を拒めない
そうだよな。それは俺が1番理解している。
石川の皐さんへの想いは、俺の花純への想いよりは劣るとしても、皐さんを裏切ることはしない。

「じゃあ、いったい誰が・・・」
「それを確かめたいんだ。社内で起っていることだからな。男として許せない」
「印刷した履歴から、どのパソコンから印刷されたか分かるだろ?」
「あの複合機から毎日、どれだけ印刷されてると思うんだ・・・それに削除してる可能性が高い」

あの手紙の内容だと・・・
「だとしたら、退職を申し出た女性社員は?」
「いや、いない。結婚してる男性を1人、1人あたるか・・・」
「それしかないか・・・」
「とりあえず、これは晴海が預かってくれ。ここなら、晴海しか見ないだろうし」
「あぁ、いいけど。これからどうする?」
「女性社員には、さすがに調査しにくい。とりあえず男性社員の既婚者に当たっていくよ」
「分かったら報告してくれ」

全く、妻がいるのに・・・
花純以外の女を抱くなんて、俺には想像が出来ない。
ひとまずその書類をファイルに挟み、他の仕事に手をつけた。

しばらくすると、ドアが開いて、花純が入ってきた。
「柊弥さん、会議から戻られていたんですね?」
「花純、お帰り。健診はどうだった?」
「順調のようです。もうすぐ産休ですし、あと少し頑張りますね」
「あぁ、花純が戻るまで、秘書は付けないから」
「大丈夫ですか?」
「花純が戻って来るまで、書類関係は管理部長に手伝って貰うよ」

花純以外の誰かと、この部屋で一緒に仕事をするなんて・・・もう無理だ。
それなら、どんなに忙しくても、自分でする。
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