俺に夢中になれよ~純情秘書は溺甘副社長の独占欲を拒めない
「ありがとうございます。そうだ、柊弥さん、明日、九州へ出張ですよね」
「あぁ、ホテルは予約したからいいよ」
「最近、九州への出張、多いですね」
「F&Dとの件から、色々な企業から声が掛かってね。1度は直接会いたいから」
「いいお話が続いてますね」
「そうだね。産まれて来る子供に繋げていかないとな」

花純のお腹を撫でると、動きだす。
「パパの声が届いてますね」
「元気だよな。あまり動き過ぎて、花純のお腹がどうにかならないか、心配になるくらいだよ」
「初めの頃はびっくりしましたね。今は、凄く嬉しくなります」
「そうだな」
初めての経験を2人で味わうのも、夫婦になって嬉しい時間だ。

「あっ、もうこんな時間か。会議が終わったら、部長達と食事に行くことになったから、遅くなると思う。1人で大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。少し仕事を片付けてから、帰りますね」
「気を付けて帰れよ」

そして、俺は慌てて会議資料を持って、会議室に向かった。

部長達との食事会は久々に行われたせいか、それぞれの思いを熱く語り出し、家に着いた時には、日付が変わっていた。
もちろん、花純はもう寝ている。
でも、明日の準備はきっちりされていた。
本当に、いい妻だな。

そして、明くる日は始発の飛行機で行くために、花純を起こさないように、出掛ける準備を終わらせた。

すると、寝室のドアが開いて、花純が出てきた。
「柊弥さん・・・」
「花純、まだ早いから寝てていいよ」
「いえ、妻として見送りたいんです」
「無理するなよ。明日、夜に帰って来るから」
「・・・体に・・・気を付けてくださいね」
「あぁ。お土産買ってくるからな」
玄関のドアを開けて振り向くと、花純は寂しそうに手を振っていた。

何だか・・・胸騒ぎがする・・・
そんな気持ちを抱きながら、マンションを後にした。
< 102 / 109 >

この作品をシェア

pagetop