俺に夢中になれよ～純情秘書は溺甘副社長の独占欲を拒めない

次の日の夜、家に着いてドアを開ける。
当然のように、電気が点いていると思っていた部屋は、真っ暗だった。

「花純っ！」
花純に何かあったと思って、慌てて電気を点け、部屋中を探した。
花純が･･･いない･･･

何があった･･･
慌てて電話を掛けようとした時、リビングのテーブルに、何か紙が置いてあるのに気付いた。

これは･･･
置き手紙と、離婚･･･届･･･
そして･･･指輪･･･

『柊弥さん。柊弥さんが他の女性に目が向いたのは、妻の私にも責任があります。でも、どうしても、柊弥さんの一夜の裏切りを、許すことができません。お腹の子は、私が責任を持って育てます。今までありがとうございます』

どういう･･･ことだ？
慌てて電話をしても、着信拒否されている。
きっと、あの体だったら･･･
花純のお母さんに電話を掛けた。

「柊弥です。そちらに花純は来ていますか？」
「あっ、少しお待ち下さいね」
お母さんはしばらくしてから、
「柊弥さん、ごめんなさい。花純が傍にいたから」
小声で話しをする花純のお母さん。

「良かった･･･あの、花純と話をさせて下さい。電話が繋がらなくて」
「柊弥さん、花純から話は聞きました。浮気してたって。帰ってからずっと泣いていて･･･」
「あ、あの、何かの勘違いです！全く身に覚えが無い話で」
「手紙を･･･内容は詳しく聞いてないけど、女性からの手紙を読んだって言ってましたけど･･･」
「手紙？あっ、もしかして･･･」

あれを見たのか･･･
慌てていて、ファイルに挟んだまま、片付け忘れていた。
花純に話す時間も無かったし、まさか誤解されるなんて思わず、油断してた。

「柊弥さん、そろそろ産休に入るし、しばらくこちらで落ち着かせます。今は、情緒も不安定でしょうし」
「はい･･･ご心配をお掛けしてすみません。理由は分かりましたので、必ず誤解を解きます」
「未熟でごめんなさいね」
「いえ、結果、花純を傷つけてしまったのは事実ですから。では、花純を宜しくお願いします」