俺に夢中になれよ~純情秘書は溺甘副社長の独占欲を拒めない
ドアを開けると、そこには、結婚式の写真を見て、泣いている花純が立っていた。

「花純・・・」
「柊弥さん・・・どうして」
「着信拒否してるし、俺が会いに行っても会わないだろ?」

無言で俯く花純に近づいて、触れようとすると、
「触らないで・・・触らないでください」
涙を流す目で、訴える花純の言葉に、思わず伸びた手が止まった。

「俺の話を聞けよ」
「聞きたくありません。辛すぎて・・・聞けない」
「全て誤解だ」
「でも、あの手紙には・・・子供が出来たって」
「あれは石川から預かったものだ。それと、そもそも、あの話は作り話だ」
「作り・・・話・・・」

花純に今までの経緯と今日、石川から聞いた話を説明した。
「手紙を見た時、どうして俺に言わなかった」
「最近、九州の出張が多かったから、もしかして、あの手紙の女性に会いに行ってたのかと思って」
「俺が花純以外を愛するなんてあり得ない。何度言わせるんだ」
「だって・・・今は・・・夜も我慢してるし・・・」
「我慢なんかしてない。ただ傍にいてくれるだけ、それだけで十分なんだ」

涙目で俺を見つめる花純が口元を抑えて、嗚咽を漏らす。
「ったく・・・俺の花純への愛は何があっても変わらないのに・・・」
頭を撫でると、胸に顔を埋めた。
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