俺に夢中になれよ~純情秘書は溺甘副社長の独占欲を拒めない
それは今も変わっていない。
好きになった副社長には、きっと素敵な人がいるはず・・・
昨日の様子だと、噂通りの皐さんなのかも・・・

副社長のことが好きな人なんて、沢山いるだろうし・・・
彼女と別れたとしても、直ぐに素敵な彼女が出来ちゃうよね・・・
富山君が何か話していたけど、耳に入って来なかった。

「ねぇ、聞いてる?青野さん」
「ご、ごめん!考え事してて、聞いて無かった」
「もぉー、俺、勇気を出して言ったのに。俺が彼氏ってどぉ?」
「えっ・・・私、富山君にはそんな感情無いから・・・その・・・同期としてだし」
「じゃあさ、お試し期間ってことで、これから週末食事とかどぉ?こんな感覚なんだって」
「でも・・・」
「そんなに構えなくて、もっと軽い気持ちでさ」

同期会は、色々話が聞けるから助かるし、毎週金曜日に食事だけなら・・・
「同期会ってことなら、いいけど・・・」
「OK!それでいいよ」
富山君に、異性としての気持ちは全く無いけど、明るく笑顔で、軽快に話す富山君に、負けてしまった・・・

それから週末、食事をしてお互い仕事の話や、学生時代の話をした。
2人で気兼ねなく話して食事するのは、楽しい。
彼氏って、こんな感じなのかなぁ・・・

でも・・・
富山君には、副社長と話をする時みたいに、ドキドキしない。
副社長には、会った時から、いつもドキドキしているのに・・・

優しく語る声と、見つめられる瞳に・・・
髪を掻き上げる仕草に・・・
隣に座って、体温を感じるくらい傍で、仕事の説明をしてくれる時間に・・・
書類を見つめる真剣な眼差しに・・・

それから・・・
副社長と過ごす時間に、胸がときめく。
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